2010年07月

金属アレルギー

金属アレルギーでお困りでは、普段身につけているジュエリーや日用品に使われている金属が、汗や体液でわずかですが溶けて、体内にイオン化した金属が入り、次に、同じ金属が接触すると拒絶反応を起こし、皮膚がかぶれる状態を言います。
一番起こりやすいのは、ピアスを初めてつけるときです。指輪は厚い表皮で体内に入りにくいのですが、ピアスは皮膚を貫いて皮下組織に金属が直接触れるので、拒絶反応を起こしやすいのです。
金属アレルギーは誰でもかかるというわけではありません。
 まず金属が、汗や体液で溶け出しやすい金属かどうか。
 着けている人がどれくらいの頻度でその金属に触れるか。最初の接触でアレルギーがでる場合もありますが、何十年にもわたって繰り返しているうちに起こることもあります。
 その金属に触れる条件。汗を多量にかく夏は冬よりも起こりやすいと言えます。また、その人の体質、汗をかきやすいとか、角質層の厚いとか薄いとかによっても違います。
 これらが複雑に組み合わさって、アレルギーが引き起こされます。全く引き起こさない人もいるのです。
アレルギーを引き起こしやすい金属→亜鉛、マンガン、銅、銀、プラチナ、金、チタン
引き起こしにくい金属→ ニッケル、コバルト、クロム
金は溶けにくい金属です。指輪やネックレスのように、普通に皮膚に接触するくらいではアレルギーは起こりにくいのです。
ピアスは皮膚に穴を開け、金と皮下組織が直接接触し、体液にさらされる条件が揃っています。
金属アレルギーを最小限にするため。
@アレルギーを疑われる人は身につけない。(医者でバッジテストをしてみる)
Aピアスを不衛生な環境で使用しない。
 清潔と消毒を間違えて、消毒しすぎによるかぶれなどの炎症もあり、さらに悪化させる場合もある。
Bピアス素材の選択にも気をつける
 金、銀、プラチナもアレルギーを引き起こさない金属ですが、チタンが一番安全と言われています。
 ピアスポストの長さも重要で、耳たぶの厚い人が短いポストのピアスを使うと常に圧迫されてアレルギーを引き起こす原因を作ります。

(2010.7.27[Tue])

クリーニング

宝飾品の中でも群を抜いて人気のあるダイヤモンドのジュエリー。
ネックレスとして使っても、リングとして使っても、その透明感や輝きはすばらしく、ダイヤモンド特有のその光沢は金剛光沢という風に表現されます。
身に着けて出かけると非常に気持ちのいいものですが、気に入って長く使っていると・・・あれれ?
なんだか以前より輝きがなくなってしまったような・・・。
そんな風に感じたことはありませんか?
こういった時に意外に多い原因となっているのが、「皮脂」による汚れです。
石の穴の裏側に付着して、光の透過や反射を妨げるので、なんだか石自体の輝きが失われてしまったように感じるわけです。
こういったジュエリーのクリーニングも私達の仕事の一部なわけですが、初期の段階であれば、比較的簡単取り除ける汚れも、ひどくなってしまうとこれが結構大変!!
何段階かの工程を組んで悪戦苦闘しながら、クリーニングに挑むことになります。
そしてその作業がすべて終了すると、元の光沢が戻るわけですが、その買った当時を思い出させる輝きはやはり絶品、ちょっと驚くものがあります。
機会をみてぜひお試しを。

(2010.7.19[Mon])

レザー(皮、革)について

まず最初に「皮」と「革」の表記の違いについてです。両者はそれぞれ違う意味をもちます。「皮」は剥いでまだ何もしていない状態のことで、「革」はなめし(腐敗防止)の処理をした状態のことを言います。

レザーと一口に言ってもいろいろ種類があります。
牛革、馬皮、鹿皮、羊皮、山羊皮、爬虫類や魚類の皮などもあります。
装飾品では、ブレスレットやネックレスなどによく使われています。革が一本でできている物や数本使用して編み込んであるデザイン性の高い物などもあります。

工芸品でも装飾品でも一番よく使われているのはやはり牛革です。牛革と言ってもまた
その中でいろいろな種類があり、生存した年数などによってランクがわかれます。
一番上質とされているのがカーフスキン(生後6カ月以内の牛)です。繊維が細かく非常にやわらかいのが特徴です。他にはカウハイド、ステアハイドなどがあり、基本的には生存年数が少なく、やわらかいほど上質とされています。理由としては生存年数が短いほうが自然の影響(太陽の光など)などをあまり受けていないのと、皮膚にキズなどがあまりないからです。
カーフスキンもいい革ですが、しかしそれぞれの革にそれぞれ質感や味などがあるので値段だけでは一概には言えません。そのあたりは個人差になってくるので、いろいろな革製品にふれてみるのもおもしろいと思います。
個人的にはスティングレイ(エイ革)などが好きですね。かたいですが独特の光沢などがありかなりインパクトがある革です。革は使い込むほどやわらかくなっていくので問題ないと思います。あとエナメルなどもいいですね、靴などにはよく使われていますね。

加工面では、貴金属とは違いリフォームや磨き直しなどがきかなく、あたりまえですが一度革を切ったり穴を空けたりしたら修正がききません。そういう面ではかなり緊張感のいる作業だと思います。革に少しでもキズなどがあると商品としては成り立たないのでかなりシビアな世界ですね。
最近のジュエリーは革を使ったものも色々と出ているので
多方面の知識が必要になってきていますので
常に勉強ですね。

(2010.7.12[Mon])

工具


普段仕事で使っている工具は何ら不足は無いんですが、もっとここがしっかりしてたらとか、
ここをこうしたいと、あれこれ手を加えて自分専用の工具に仕立て上げると、さらに仕事がやりやすくなったり、
楽しくなったりで仕事に張りが生まれますね。
この気持ちがいいと言うのをさらに突き詰めて行くと、今度は「もっと良い工具を」と言う事になります。
私たちの仕事で一番基本になるのは、リングを切ったり削ったり・・・・鋸(ノコギリ)やヤスリですね。
ここをもっと良い物に換えると思った以上に効率が上がったり、精度が上がって出来上がりが
見違える様になったりするものです。
所詮、工具や道具は手の延長でしかないので、使う人の技量以上の事はしてくれませんが、10の力を
4とか5でしか伝えてくれない物を、8や9さらに10で伝えてくれる物に換えただけで随分違って来ると思いませんか?
それに加えて、更の工具を自分専用に手を加える事でもまたさらに使いやすくする事が出来ます。
人間の手の形なんて同じものはまず無いでしょう、右と左でも微妙に違っているのは当たり前ですので、
それに合わせて形を微妙に変えて、フィッティングするだけで1ポイントはアップします。
たまに、職人同士で工具の貸し借りをする事がありますが、借りた工具の使いにくい事と言ったら全く
「何でこんなのが使えるんだ?」って思わす呟いてしまいます(笑)。
私たちの工房の職人達の工具は彼らの分身でもありますので、
その人以外には使いにくくて当たり前なんですね。
ただ、昔聞いたお話で「良い職人の道具は、誰が使っても使いやすい」と言うのがありまして、今までのお話と矛盾しますが、
これはある一定の域に達した職人さんだと道具に頼らない仕事をするため、変な癖が付いていないので誰が使っても
使いやすいとなるのかなと勝手に思ってます。

(2010.7.5[Mon])


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