2010年10月

「宝石鑑別書」と「宝石鑑定書」の違い

「宝石鑑別」とは次の作業を指します。

・ 検査対象が偽物か?本物か?
・ 本物ならば、なんと言う宝石か?
・ 宝石に対する処理の有無は?
・ 処理が施されているならば、それはどんな処理か?
宝飾品を購入した際に、添付されていることのある、使用宝石が「何々という宝石である」と書かれた書類は、「宝石鑑定書」と表現されている例もありますが、正しくは「宝石鑑別書」といいます。

「宝石鑑定」とは、
検査対象がいくら位の資産価値があるのかを判断する事をいいます。宝石鑑定を行う人が宝石鑑定士。英語では宝石鑑定をアプライザル。宝石鑑定士をアプライザーといいます。

海外では手持ちのジュエリーに対する保険契約の際に、近所の宝石店にアプライザルを依頼する事が比較的に一般的ですが、日本でアプライザルを行う会社は、ジュエリーや宝石の買取業者や、宝飾品の売買を仲介する事業者、あるいは、質屋を挙げる事ができますが資産価値の判断という意味での宝石鑑定を主たる業務とする機関は、恐らくないであろうと思われます。

宝石鑑定を行うには宝石鑑別の知識に加え、品質の判断ができ且つ宝飾品や裸石のマーケットバリューに精通している事が必要です。
ただし、日本でダイアモンド裸石、あるいはダイヤモンドジュエリーに関わる用語として「宝石鑑定書」といった場合には、資産価値を判断した報告書・・つまり「このダイアモンドは200万円します」と記したものではなく、ダイアモンドグレーディングレポートを指します。
レポートには、検査ダイアモンドのキャラット重量、カット、クラリティ、カラーの4Cの他、寸法や紫外線蛍光に対する反応などが記されています。

(2010.10.21[Thu])

ジュエリーの素材

ステンレススチール 316L
この合金は、別名サージカル(外科手術用)スチールとも呼ばれています。比較的人体に優しい素材で、金属アレルギーが少なく、錆びにくく腐食にも強い耐性を持つ特性であるために主に医療分野での需要が目立ちました。
中でも316Lと呼ばれるグレードの高い素材は数年前から精度の高いジュエリー用の素材としても注目されるようになってきています。時計のケース等では既に一般的ですね。ステンレスはシルバーと比べると圧倒的に低価格であり、また変色することがほとんどありませんので シルバーのような磨くお手入れは不要です。
チタン(チタニウム)
ここ数年スポーツ関係者から話題になり人気を呼んだ素材のひとつです。チタンは生体電流を整えると言われています。それはチタン自体がマイナスの電位(イオン)を帯びていて、それが体内のプラスイオンに働きかけてくれるから。また、アレルギー反応を起こしにくいといわれており、ジュエリー感覚で楽しみながら、健康にも気をつかえる一石二鳥的な素材です。非常に硬く、軽い金属です。 電気を通して着色したりもできます。

これらの合金は最近ジュエリーの素材として見られるようになってきました。ただ、まず貴金属ではないですし、人の手による加工が困難なため、正直我々の目線から見ると「宝飾品」というよりは「工業製品」といった印象ですね。ジュエリー向けなど細かい加工には、その工程ごとに一台数千万円もする機械が必要だったりするようです。変形してしまったり折れてしまったりしたら、ほぼ元通りにはなりませんし、指輪のサイズを変更することも、おそらく困難でしょう。
ジュエリーには、そのものの価値も重要ですが、例え壊れてしまっても修理や磨きなおしをすることで「長く使える」ものであることが大事な要素です。新しい素材を否定する気持ちはありませんが、古くから使われている素材には、やはりそれなりの理由があるのだと思います。

(2010.10.13[Wed])

ネックレス

首周りのちょっとしたアクセントに使われるネックレスですが、非常に多くの方が身に着けていて、そのチェーンの種類も多種多様です。その種類はといえば、あずき、喜平、ベネチアンにボールチェーン・・・などなど考えたらきりがないくらい、多くの種類があります
人によってはベネチアンチェーンが好きだったり、また違うひとはシンプルなあずきが好きだったりと、その選択肢が多いのもネックレスの魅力のひとつと言えるでしょう。
しかし残念なことに、ネックレスはその繊細さから日常のちょっとした仕草で切れてしまうことも多く、結構多くの方が修理をしてもらった経験があるのではないでしょうか?
そんなネックレスですが、その繊細さから、修理は非常に細かい作業が要求され、また修理方法も種類の数だけ多くのやり方が存在します。シンプルなあずきのチェーンでも、あのひとコマひとコマを手作業でつなげると思えば、その作業の細かさは想像できるかと思います。機械を使ってパッとつなげられれば非常に楽なのですけどね・・・。
シンプルな構造のものはシンプルに、複雑な構造のものは構造をよく理解して、最も最初の形に近くなおるように考えて修理の段取りを組むのが、きれいになおすコツですが、なかなか難しいところでもあり、また職人としては楽しいところでもあります。
そうはいっても切れないのが一番ですが・・・。

(2010.10.5[Tue])


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