2010年11月

銀について

銀は一昔前までは日本ではジュエリーとして扱われていませんでした。欧米では銀器などの歴史があり、銀は貴金属であるということは確立していたのですが、その歴史のない日本では長い間、銀はアクセサリーとして扱われていました。
その証拠に銀のジュエリーはふつうの宝石店ではほとんど扱われていませんでした。しかし、現在は有名なブランドメーカーなども数多くの銀製品を販売しています。
その最大の理由は単価が安いことと、以前にくらべて若い女性あるいは男性がジュエリーを身につけるようになったことです。
金やプラチナなどは値が張ってしまうので、銀はジュエリーの入門編としてはうってつけです。

全金属の中で、熱と電気の伝導性、鏡面率が最も高いのが銀です。しかし、銀の性質としてもっとも知っていなくてはならないことは、銀が空気中の硫化水素や、水分中のオゾンや二酸化硫黄と反応して、表面に硫化銀を作り表面が黒変したり、光沢を失っていくことです。これを銀の硫化といいます。よく間違えていわれることは「空気中の酸素と化合して銀が酸化してしまう」ということですが、鉄サビ等の酸素による酸化ではなく、硫化水素による硫化だということですね。
この表面変化を嫌って、宝石店で売っているたいていの日本のシルバージュエリーにはロジウムメッキがかけられています。ロジウムは金属の一種で硬すぎてジュエリーの加工には使えないのですが、メッキで表面をおおうにはこの硬さが何よりいいです。

しかし銀でありながら、私たちの目に実際に入るのはロジウムの表面なので、それを嫌い銀そのものの表面を好む人も多く、欧米ではロジウムメッキされたものは少ないのです。
これはWGやプラチナにもいえることで、日本ではかなりの量がこれらにロジウムメッキされています。

(2010.11.25[Thu])

糸換え

パールネックレスや色石のビーズネックレス、ビーズアクセサリーなどお持ちの方はたくさんいらっしゃると思います。
当社ではジュエリーの類からアクセサリーの類までそのようなネックレスの修理も請け賜っています。
内容といえば、途中で切れた物の糸替え(物によってはつなぎ直し)、止め具の誂えや交換、長さ調整などの修理です。 
このようなネックレスは基本的には糸でつなげてあります。糸は裁縫などで良く使う絹糸が多いのです。ですが長く使用していると中で擦れて切れてしまったり、糸自体が伸びてしまったりします。また使用頻度によってはアカやよごれの付着により黒ずんでしまったりしてしまいます。白い糸の糸替えの時に同じ様な絹糸を使ってしまうと又すぐに切れたり伸びたりしてしまうので当社では伸びにくく切れにくい絹100%ではないミシン糸をつかっています。色糸の場合は同じ色の糸を見つけて糸替えします。色糸は国内では生産されていないような糸もあるので探し出すのに一苦労します。
結び方も数種類あります。15分〜20分程度で出来上がる結び方もあれば2、3時間掛かってしまう結び方もあります。結び方によって難易度も変わるので時には練習も必要になってきます。玉と玉の間一箇所ごとに結び目を作っていくやり方もあるんですよ。
糸の代わりに、ワイヤーやテグス、シリコンゴムを使っているネックやブレスレットもあります。ゴムでつなげた数珠に似たブレスレットを身に着けている人はよくみかけます。そんなブレスもネックと変わらずお直ししています。
それぞれに決まった留め方繋ぎ方がある訳ではありません。時には職人の研究と工夫も必要になってきます。
しかし仏具の数珠はというと……直せません。餅屋は餅屋というようにそれ専門の職人と工具が必要なのですね。
糸替えとはいえ簡単にはいかないものです。どんなものでも「たかが〜」とはいえないものですね。

(2010.11.16[Tue])

誕生石

今回は、先月ですが10月の誕生石についてです

10月の誕生石はオパールです。
石の持ってる意味は、希望、無邪気、潔白。 
産地はオーストラリア、メキシコなどです。化学組成はSiO2・nH2Oで、モース硬度 5 - 6。比重 1.9 - 2.2。劈開性無い。
成分中に10%ぐらいまでの水分を含みますので、乾燥に弱いんです!!
透明なものから、半透明・不透明なものまであります。ガラス光沢・樹脂光沢をもつものは宝石として扱われ、無色のものから乳白色、褐色、黄色、緑色、青色と様々な色のものが存在します。まれに遊色効果を持つものもいるんです。
青色より赤色が多い方が、価値は高いんですよ。
乾燥に耐えられたオパールだけをカットし指輪などの宝飾品に加工されるのです。
かと言って無理に留めようとすると、直に割れたり、欠けたりする、デリケートな石なんです。
なので、留める時は、細心の注意が必要なんなので、爪は厚いと職人泣かせなんです。
出来れば、厚みが薄く、丸みのおびた爪が我々には、やり易いんですけどね…

この石の石留めは、非常にレベルが高く、当社では、熟練の職人が石留めをおこなっております。
まー、何事にも、鍛錬が必要な訳ですね。

2010.11.6[Sat]


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