銀は一昔前までは日本ではジュエリーとして扱われていませんでした。欧米では銀器などの歴史があり、銀は貴金属であるということは確立していたのですが、その歴史のない日本では長い間、銀はアクセサリーとして扱われていました。 その証拠に銀のジュエリーはふつうの宝石店ではほとんど扱われていませんでした。しかし、現在は有名なブランドメーカーなども数多くの銀製品を販売しています。 その最大の理由は単価が安いことと、以前にくらべて若い女性あるいは男性がジュエリーを身につけるようになったことです。 金やプラチナなどは値が張ってしまうので、銀はジュエリーの入門編としてはうってつけです。
全金属の中で、熱と電気の伝導性、鏡面率が最も高いのが銀です。しかし、銀の性質としてもっとも知っていなくてはならないことは、銀が空気中の硫化水素や、水分中のオゾンや二酸化硫黄と反応して、表面に硫化銀を作り表面が黒変したり、光沢を失っていくことです。これを銀の硫化といいます。よく間違えていわれることは「空気中の酸素と化合して銀が酸化してしまう」ということですが、鉄サビ等の酸素による酸化ではなく、硫化水素による硫化だということですね。 この表面変化を嫌って、宝石店で売っているたいていの日本のシルバージュエリーにはロジウムメッキがかけられています。ロジウムは金属の一種で硬すぎてジュエリーの加工には使えないのですが、メッキで表面をおおうにはこの硬さが何よりいいです。
しかし銀でありながら、私たちの目に実際に入るのはロジウムの表面なので、それを嫌い銀そのものの表面を好む人も多く、欧米ではロジウムメッキされたものは少ないのです。 これはWGやプラチナにもいえることで、日本ではかなりの量がこれらにロジウムメッキされています。
|