昔、中学校の頃に放送されてた「スパイ大作戦」と言う海外ドラマで、とあるお金持ちだかアメリカにたてつく国の政治家だかの金庫の中にある金塊を盗み出せという指令がありました。 外から金庫を開けるのは可能性がゼロに近いのですが、唯一金庫の床に開いた排水口の下までは忍び込めるので、そこからマイクロ波(だと思います)を発生させる装置を入れて金塊を溶かして盗もうと言う計画でした。 今考えると、金(純金)溶かすのには1064.18 °Cと言う高温が必要で、当時ポータブルの バッテリーでそんな大出力のものはなかった筈ですし、かりにその建物から電源が盗れたとしてもそれだけの大電流を盗ったらわかってしまう筈ですよね。 それに何トンもある金塊を運び出すのもあのメンバーの数では不可能だったのではと(笑)。もうひとつ。 時代劇でよく盗賊が大店から千両箱を盗み出して逃げるシーンがありますが、これもかなり無理があると思われます。 小判は時代によって大きさや純度が変わったりしてますが、だいたい1枚10g前後の目方があります。 慶長小判(慶長6年(1601年)頃、14,727,055両(推定値)、4.76匁、84.3%→86.8%) 元禄小判(元禄8年(1695年)9月、13,936,220両1分、4.76匁、57.4%) 宝永小判(宝永7年(1710年)4月、11,515,500両、2.5匁、84.3%) 正徳小判(正徳4年(1714年)5月、213,500両、4.76匁、84.3%) 享保小判(正徳4年(1714年)8月、8,280,000両、4.76匁、86.8%) 元文小判(元文元年(1736年)5月、17,435,711両1分、3.5匁、65.7%) 文政小判(文政2年(1819年)6月、11,043,360両、3.5匁、56.4%) 天保小判(天保8年(1837年)7月、8,120,450両、3匁、56.8%) 安政小判(安政6年(1859年)5月、351,000両、2.4匁、56.8%) 万延小判(万延元年(1860年)2月、666,700両、0.88匁、56.8%)
1匁は3.75g なので、千両ですから10gX1000で10kg。 箱の重さも加えれば少なめに見ても一箱15kgはあったと考えられ、これを両脇に抱えて(計30kg)走ったり塀を飛び越えるなんて、いくら鍛えてるとは言え普通の人間では不可能じゃないでしょうか? また、悪代官に袖の下を渡すのに通称「切り餅」を入れた菓子箱を渡してましたが、これも片手でホイホイ渡せる程軽いものではない筈なのです。 「切り餅」は小判が25枚包まれてましたが、これだけで約250g。 菓子箱にはだいたい12包くらい入ってましたから、250X12で約3kg。 片手で持つにはちょっと重いですね(笑)。 最後にアニメーション「ルパン3世」の最初のシリーズの最終回。 ルパン達4人が金庫から大量の小判を布袋に入れて盗み出すのですが、あの人数では重くて相当大変だったと思われます。 その後フィアット500と言うクルマで逃げるのですが、あのクルマに4人乗って大量の小判も積んでいたらまず逃げられなかったでしょうね。 あのクルマ、現代のクルマに比べてとても小さいのに加えて、スポルトモデルでも20馬力ちょっとしかないんです。 この仕事に就いて関係の知識を得てみて、ちょっと夢が無くなってしまったかなと思うこの頃でした。
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