2013年07月

単品製作と量産品

おそらく一般の小売店さんのショウウインドーに並んでいるジュエリーの殆どはキャスト製法と言う量産向きの製法で造られたものだと思います。
これは以前にもこのコラムでご紹介していると思いますので簡単にご説明させていただくと、原型と言うものを作りそれを複製して行く方法で、一度原型を作ればほぼ無限に同じものが作れます。
なのでコストが大きくかかるのは原型とキャストなので、かなり凝ったデザインものでも手が届き易い値段になる訳です。
反対に単品製作はデザインから始まってパーツ一個一個の製作、組み立て仕上げ、石が留まる場合は石留め等の作業をコツコツとこなして行きます。
当然、時間もコストも量産品とは比べ物にならないくらいかかりますが、世の中にただ一つのものが手に入るのでお客様の満足度はかなり高くなる訳ですね。
通常業務の修理やサイズ直しに比べて単品製作は比率にして全体の数パーセントですが、内容的にはかなり濃いものなので楽しい反面、技術的にあっぷあっぷなな時が多いのと時間に追われる部分もあるのでかなりのプレッシャーでもあります。
でもオーダーされた方が喜んだり驚いたりするのを想像しながら制作するのがまた楽しいんです。

(2013.7.24[Wed])

ネックレス

ネックレスは首を取り巻くジュエリーすべてをいいます。貴金属で作られたものをネックチェーンといい、紀元前2500年には貴金属を編みあげる技術ができていました。
チェーンは金属線を曲げて輪状にしてつなげたものと、打ち抜きした板や棒状のパーツをつないだもの、ボールチェーンやスネークチェーンのように一定の形のパーツをつなげたものがあります。アズキ、喜平、ベネチアン、ロープ、ヘリンボーンなど様々な名称のチェーンがあります。ネックレスの留め金具の種類として、引き輪とプレート(または受け輪)、クラスプ(差し込み型や中折れ型など)、フックがあります。引き輪は軽く安価なのが特徴で何種類かのサイズがありプレートのことを「ダルマカン」と呼ばれたりします。クラスプはネックレスのデザインの1部となって繋ぎ目が分からないようにたり、フロントクラスプの様にネックの中央やサイドに持ってきてデザインのポイントにしてあるものもあります。フックはイタリアンクラスプともよばれイタリアからの輸入品で国産のネックレスにはあまり使われず、外国のブランド品などのネックレスでよく見かけることができます。留め具はデザインに合った使い易ものを使用することをお勧めします。
ネックレスは長さの順に分類されて呼び方も違います。1番短いネックレスはチョーカーで長さは35cm~40cmほどで首の周りに沿う感じで、パールのチョーカーは冠婚葬祭の定番です。リボンタイプのチョーカーなどもありスーツには最適なネックレスだと思います。
2番目はプリンセス、長さは40cm~43cmで胸元を飾るネックレスとして程よい長さです。ネックレスの中で1番定番の長さだと思います。
次に55cm前後の長さのマチネス、胸の少し上ぐらいの長さです。
80cm前後で胸の下ぐらいまでの長さをオペラ、オペラ歌手がよく身に着けているイメージの長さでエレガンスに見える長さと言えると思います。
最後にロープ、110cm前後でお腹のあたりまである長さです。重ね付けしてゴージャスに見せることもでき個性的な長さのネックレスです。
長さと貴金属によってデザインも様々で、革ひもにペンダントをぶら下げたものもネックレスです。大昔からあるロザリオなどお守りをぶら下げたもの、獣の骨や牙に通してぶら下げたものもネックレスです。ジュエリーのなかでネックレスが1番その人個性の出せるジュエリーだと思います。

(2013.7.12[Fri])

加工の仕事

一日のうちで、特に指輪のサイズ直しをする時には、必ずと言っていいほどヤスリをつかいます。
形や目の荒さなどはいろいろとあって、人によって好きな物を使い分けています。
新品よりちょっと使い込んだもののほうが使い良かったり、逆に使い込み過ぎるとなかなか削れなくなって作業性が悪くなったりと、作業をする上では割に重要なウェイトを占めているものです。
機械で作っているものとヤスリの職人さんが作っているものとがあり、同じ形をしていても、良く削れたり、微妙に形が違ったり様々です。
人によっては特定の職人さんが作ったものでないと使いにくくてしょうがないと言う人もいますし、そこまで気にせずにヤスリを使っている人もいるみたいです。
個人的にはやはりある程度自分の好きな形や削れ具合があり、あまりに違ってしまうと、作業性が悪くなるのは確かな様な気がします。
それも含めて腕だと言われればそれまでですけどね・・。ある程度のこだわりは皆さんお持ちではないかと勝手に思っております。
それにしても、この業界で仕事をしている多くの人が機械で作ったヤスリでなく、職人さんが作ったヤスリを好んで使うように思います。
機械のがいいものができそうな気もしますが、やはり人の作ったものというのは、使い手の事も考えて作られている点で多くの人に選ばれるのかもしれません。

(2013.7.4[Thu])


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