2013年10月

修理

修理屋さんなので当たり前と言えば当たり前ですが、私達の仕事の多くは修理の仕事で成立しています。
ネックレスやブレスレットの修理、或いはリングの石留めやサイズ直しなんていうのも、ごくメインの仕事です。
どれも気の遣う仕事ですが、中でもサイズ直しはかなり神経を遣います。
なにせ、中石の付いているものが多いですからねぇ。
石ばかりは割れてしまうとどうにもならないので、サイズを大きくする場合も小さくする場合も、良く考えて作業をせざるをえません。
ダイヤは石の中ではかなり強靭なので、少し力が加わったくらいでは割れませんが(割れるものもあります。)、割れやすい石はちょっと力が加わっても割れたり欠けたりしてしまいますからね・・。いやいや、恐ろしい仕事です。
そういえば、入りたての頃は緊張しまくりでした。
でも、慣れたとはいえやはり高そうな石は今でも緊張しますよ。
工程としてはまず、リングを切断、目標のサイズに縮める或いは広げてから、ロー付け(溶接)をします。
あとは形を整えて目標のサイズに調整してから、仕上げに入ります。
特に神経を遣うのは、リングの切断後に切った部分が合わさるようにする時と、ロー付けの時かな。
合わせる時は、石が割れる可能性が高いし、ロー付けの時はかなり高温になるので、石に熱がいってしまうと、これまた石がダメになってしまいますからね。
その後も緊張は続くわけですけれど。

でも、リスクの高い仕事ほど上手くいった時はうれしいかもしれません。
これが、この仕事の醍醐味かもしれないかな?

(2013.10.23[Wed])

染め物

一般的な染め物といえば布製品ですが、金属にも染色と呼ばれる技術があります。布を「染める」のとは違って、染料をしみ込ませるのではなく表面に安定した酸化皮膜を作って色を変えます。
銀製品が硫黄に反応して黒く硫化するのは良く知られていると思いますが、銀の硫化は本体を侵食するのに対して染色は主に鉄製品を守る役割りがあります。
色は黒っぽい色がほとんどで、これは作られる酸化皮膜がいわゆる「黒サビ」だからです。
黒サビは頑強で進行しない特徴があります。黒サビで表面を覆う事で「赤サビ」の発生・進行を抑えられます。赤サビは鉄をどんどん傷めますからね。
本来は工業製品や銃器に使われる技術ですが、鉄以外の金属も黒く染められます。モデルガンの趣味がある方は個人で染色(ブルーイングと呼ぶそうです)されてたりするみたいですが、
溶剤が危険なので気をつけないといけませんね。
昔、彫金の先生に道具の手入れについて教えてもらったときに「赤サビの手」の人と「黒サビの手」の人がいると聞いた事があります。「赤サビの手の人はヤスリなどに赤サビを発生させやすい汗をかく体質だから、こまめに手入れをしなさい。
黒サビの手の人は道具に赤サビが浮きにくい体質だから、わざと道具を手でこすって手の脂をつけるといい。そうすれば使っているうちに黒くなっていってサビに強くなる。こればっかりは体質だから。」と言っていたのを何故か鮮明に覚えているのはきっと「黒サビの手」の人がうらやましかったからでしょうね。

(2013.10.14[Mon])

糸替え

パール糸変えは、糸で組む方法とワイヤーで組む方法があります。
糸のほうが伸縮性に優れています。 しなやかさがあり優しい印象があります。

ワイヤーは丈夫な素材なので長持ちします。

糸を使用したオールノットという、 珠と珠の間にすべて結び目を作っていく方法は途中で切れてしまっても珠の落下を最小限に抑えてくれるのです
一般的にロングのパールネックレスや大粒のパールネックレス向きです。   
      
ワイヤーにするか糸にするかはお客様の使用頻度やライフスタイルにあわせられます。
また、糸替えの際にバネの弱くなったクラスプを
お使いいただきやすいワンタッチクラスプにお取り換えすることも出来ますので。
何時でもご相談ください。

(2013.10.8[Tue])

工具の持ち出し

いつもは会社の中で仕事をしているので、なかなか工具を持ち歩く機会というのはないのですが、たまたま工具を持ち出さなくてはならない機会に見舞われ、いつも使っている一部の物をカバンに入れて帰りましたが、その重さに驚きました。
普段はあまり意識していませんが、糸ノコやらヤスリやら、考えてみると結構多くの種類の工具を使っていて、それは重たくなるな・・・と納得した次第です。
また、自分だけが好んで使っているものというのも数多くあり、それが一定の太さのピンセットだったり、自分の好きな形のヤスリだったり、観察してみると意外に面白いものです。
そういえば、時々、別の職人が仕事をしている姿を観察してみると、大まかにやり方は一緒でも、細かくいえば作業の仕方は非常に差があって、「その道具をそんな風に使うのか・・・」という驚きがあったり、「その道具はどういう風に使うもの?」という疑問が出てきたりなんていうこともしばしば。
こういった工具の使い方や、選び方の工夫がそれぞれの仕上がりを少しずつ良くしていったり、いままでよりも短い時間で効率的に作業できるようにしたりしているわけなのでしょう。
同じ会社の中でもこれだけの個性があるのですから、別の会社や、もっと広く言えば、違う国などには、もっと我々の驚かされるやり方や、工具などが存在するのでしょうね。

非常に興味ありです。

(2013.10.3[Thu])


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