2015年04月

呉服屋

先日、妻が着物の小物を買いに行きたいというので同行しました。
とは言っても私は着物に関しては持ってもいないし、お金もないので店内をぶらぶらしていたのですが、展示されている帯にキラッと光る物が見えたので立ち止まってじっと見ていたら、店主と思しき方が「それは螺鈿(らでん)という技法を使っているんですよ」と教えてくれました。
螺鈿ってなんですかと聞くと「貝の内側の部分を薄く削って埋め込む技法で、主に漆器に使われる技法なんですよ」とのこと。
「それを着物の帯に組み入れてみたんですがどうですか?」と聞かれたので、私の仕事はこれこれこういうことをしておりますすので大変興味深いと答えました。
「それでしたらこんなのもありますよ」と出されたのはやはり帯で、こちらにはクレサンベール(確か京セラがつくった人工石)が模様に組みこまれてました。
ルビーとエメラルドでしたが何の違和感もなくデザインに溶け込んでいて素晴らしいものでした。
保守的な伝統工芸が着物の世界と思ってましたが最近は若い方々が色々やっていて伝統に新しい解釈を加えた面白いものがたくさん出ているそうです。
私共の業界も伝統的な技法に何かを加えて革新的な技術を編み出せば利益と技術革新になるのではないかと思った次第。
世界的に日本が注目されている昨今、同じ仕事をするなら面白くやりたいですね。

(2015.4.28[Tue])

身につけたまま

お客さまからお預かりしたネックレスやブレスレットに、衣類の糸くずか絡んでいる事がよくあります。
ニットなどの糸がほつれやすい素材ですと、チェーンが擦れたときに糸くずか絡みやすい
ようです。また、衣類を脱いだりするときにネックレスなどを先に取り外さず、そのまま脱いだり、ネックレスも衣類ごと外す方もおられるようです。
こういった行為のくりかえしは、チェーンに糸くずを絡ませるだけでなく、チェーンが「のびたり」「よれたり」「切れたり」する原因になるので気をつけてください。

リングでも同じで、身につけたままの食器洗いやハンドクリームなどのスキンケアは、
リングに洗剤や化粧品こべりついたり、つまったりしてしまいます。
こういった行為のくりかえしは、宝石が付いているリングならば宝石の輝きを失わせる
原因になります。
人間の「皮脂」「垢」などが化粧品などと混ざると私たちでも綺麗に取り除くのが困難になる場合があります。
お気に入りで大切なアイテムであれば、「はずす」「洗う」などの細やかな配慮をお願いしたいです。

(2015.4.24[Fri])

ロー付修理

ロウ付け修理を致します。と切れたネックレスやリングを修理に持ち込むと店員さんから言われたことはありませんか? ご存じかもしれませんが、ロウ付けとは金属を接合する方法の一つです。母体の融点より低い融点のロウ材(合金)を流して切れた部分やパーツをくっつける方法です。はんだ付けでしょ?とよく言われるのですがロウ付けとはんだ付け違います。ロウ材は金には金ロウ材(18Kロウ、16Kロウなど)銀には銀ロウ(銀は2分ロウ、3分ロウなど)があり市販されているロウ材もありますが工房によっては自社でロウ材を調合し作っている所もあります。母体を溶融させずに接合することが出来るのが強みです。18Kには18Kロウでロウ付けするのが望ましいです。理由としては、純度の問題と母体とロウ材の色味の違いがあるということです。例えば、18Kのリングに14Kロウを流すと18K+14Kのリングになり厳密に言うと18Kでは無くなってしまいます。また18Kの割金の量と14Kの割金の量が違いますから色味が一緒になることはありません。母体との硬度も違ってしまいます。うっすらとスジやロウ材が流れた跡が裸眼でも確認できてしまいます。これをロウ目といいます。しかし18Kに18Kロウを流しても母体とは違う18Kなので高い確率でロウ目は出てしまいます。このロウ目を上手く隠すのが職人の技ということになります。パーツと多数取り付けるアイテムに最初から12Kや10Kなどでロウ付けすると後から取り付けるパーツのロウ材も低くなりロウ材の融点も低く近いものになるので組立がこんなになってしまったりします。母体を融かさないようにするのは当たり前ですがそこからどのような工程、手順、必要なパーツとロウ材を考えて作業することが大切になります。

(2015.4.16[Thu])

ダイヤモンドの意外な事実

現在は宝石=ダイヤモンドと言われるほど定番となっている宝石ですが、宝石の長い歴史からみればダイヤモンドが現在の地位を占めるようになったのは、ほんの数百年前のことです。
ダイヤモンドは原石のままではあまり光らないので、昔はカラーストーンの方が珍重されていました。
遺跡などから発見された財宝などに、ルビー、サファイヤ、エメラルドがよく使われているのをテレビで見かけたことがある人もいると思います。
ダイヤモンドは非常に硬い石なので、昔はその研磨(カット)技術がなかったわけです。
しかし、現在ではダイヤモンドの持つ輝きを最高度に発揮するブリリアントカットなどが発明されるなど、多種多様な形が見られるようになりました。
定番のラウンド型も良いのですが、一つくらい変わった形の物を持っていてもいいかもしれませんね

(2015.4.9[Thu])

新しい時代の幕開け

宝飾関係のお話ではありませんが。
先日自動車メーカーのTOYOTAから世界初の市販の燃料電池車の発売がアナウンスされました。
数年間からエコカーの本命とされてましたがいよいよの発売です。
ところが値段を見てびっくりですね!
まともに買ったら1千万近くになるんですね〜まぁ補助金等絡めれば500万円くらいまでにはなりそうですが、なぜこんなに高いのか?
車の構造自体はそんなに従来の物とは異なってはいないのですが、動力源の燃料電池に高価なプラチナを100グラム近く使っていたり、その周辺の新しい機構にコストがかかっているんだそうです。
さてこのプラチナ、私どもの仕事には毎度お馴染みの貴金属です。
1グラム¥5,000近く(以上)するまさにプラチナな金属ですが現在までに採掘されたのが約500トン。推定埋蔵量はあと2,000トン程と予想されてます。
つまり燃料電池車に100グラムづつ使うとたったの2,500万台しかうごかせない計算になります
日本の2006年11月度の自動車保有台数が約7,600台ですから世界的に見ていかに足りないかお分かり頂けると思います。
でもそれだけじゃ終わらないのが人間のすごいところ。
資源量が限られているプラチナは現在1kgあたり6万5000ドル程度(約526万円)で取引されているのに対し、PDDA水溶液にカーボンナノチューブ を数時間漬け込むだけで作ることができるというこの新触媒は、原価込みで1kg100ドル(約8100円)で製造でき、燃料電池に限らず今後さまざまな還 元反応の効率的な非金属触媒として汎用性があるのではないかと期待されています。
何より燃料を燃やして動力や発電という時代から抜け出せるきっかけが出来るのは
良いことだと思います。

(2015.4.2[Thu])


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