2016年05月

ヤスリ

貴金属加工にもヤスリを使います。ヤスリと言っても種類があります。ヤスリの目と形状、ヤスリの材質によって様々なヤスリがあります。貴金属加工は細かい作業とo単位の加工をするので組ヤスリと精密ヤスリを主に使います。5本組と10本組が主流かと思います。組ヤスリは斜めに刃が切ってある複合目です。形を削り出す切削作業時には中目を使い形を整えます。仕上げ手前の作業では中目でついたヤスリ目を油目で綺麗にします。真っ直ぐにあてないと斜めにヤスリが滑ってしまい削れないうえに傷を付けるだけなので注意が必要です。最初に粗目を使うのも悪くは無いのですが。貴金属に対しては削れ過ぎてしまうのであまりお勧めできません。削った粉が多く出過ぎてしまうのもデメリットの一つです。リングの作業では平ヤスリ、腹丸、丸、両甲を使い細部や隙間には角や笹葉(先細)を使うこともあります。サイズによって内径に差があるので大きさと形状を選んで使います。余計な所を削らないようにヤスリ幅を細く加工したり、薄くしたりと自身でヤスリを加工する職人もいます。ヤスリは押して切る工具なので刃があたりすいように先端に向かって徐々に厚みが薄くなり、幅が狭くなっています。手で持つヤスリは真っ平を出すのが得意ではないので面を出すときには紙ヤスリを使います。最近のヤスリは機械加工の物ばかりでヤスリ職人による手切りのヤスリは滅多に見なくなりました。意外と機械で作ったヤスリの方が面や形にムラがあり、手切りのヤスリだと切れ味と物持ちが良く刃の面もピシッと出ているので使いが良いです。しかし、ヤスリ職人の高齢化と引退で最近ではほとんど見かけなくなりました。刃とヤスリの形状と削る物の形を考えて選んで使うことが良い仕上がりに繋がっていきます。シルバー、金、プラチナと目を詰まらせやすい金属なのでヤスリの目の掃除も大事な作業になります。

(2016.5.31[Tue])

職業病

毎日お客様からお預かりした商品の修理やサイズ直しをするのが私どものお仕事です。
当然、かなり気を遣いますし緊張もしますので肩こり、腰痛、眼精疲労などが慢性化。
ちょっとやそっとでは解決できないレベルになる時がありまして、そういう時はその手のプロにお願いするのが一番ですね。
最近よくお世話になるのが鍼灸師の方で、約1時間みっちり鍼を打ったりマッサージをしていただきます。
これでまぁ1〜2週間は気分良くお仕事ができるので助かります。
先日、施術が終わった後世間話をしていたところツボを探る短い編棒のような形の金属製の棒の金メッキが剥がれてしまったので私の仕事を見込んでなんとかなりませんかと尋ねられたので詳しく聞いたところ、患者さんに金属アレルギーの方がいらっしゃってメッキが剥げると反応してしまうのだそうです。
再メッキするのはあまりオススメしないのですが、材料はどんなのがベストなんですかとお聞きしたところ18金か、チタニウムとの事。
ちょっと調べたら18金はちょっといいお値段になってしまいますが、純チタニウムは長さ1ミリで6円程度とかなりお手頃。
鍼灸界では一本1万円オーバーで売られているんだそうで、業者さんかなり美味しい商売してますね(笑)。
そんな訳で、一本試作を作る事になり上手くいけばまとめてご注文頂けるかもといった話までになりました。
まだまだ景気回復までは厳しい感じの昨今、異業種からのお仕事も持ってこれたら意外にいけそうなものがありそうです。ある意味楽しいしやりがいもあるのでワクワクです。

(2016.5.25[Wed])

ガラス工房

先日ガラスの職人さんの工房に遊びに行って来ました。
ガラスの職人というと、窓のガラスが割れた時にガラスを窓の大きさに切って窓を直す方を想像してしまいますが、その職人さんはガラスを彫ることを生業にしている人です。

ガラスを彫る?と思ってしまいますが、板のガラスにデザインや文字を彫りいれるもので、カフェを始め様々なお店に身近に使われているものなんですよ?
加工する工程とか道具などは、私達宝飾業界の人間からすれば珍しいものが多く、ちょっと見せてもらっただけでもいろいろと新鮮で面白いです。

宝飾業界だけに留まっていると、そういった目新しいものをなかなか見る機会がないので、たまに異業種の工房などを見せてもらうと、自分の業界でも使えそうな道具ややり方が発見できて非常に勉強になります。
よく言われますが、やはりやってみていない事にチャレンジするのは大切ですよね。

工房の周りを見せてもらったら、手作りのオブジェやらなにやら。
聞いてみたら、全部自分で作ったそうで。
木で作った物などもありましたが、その器用さに脱帽の一日でした。

(2016.5.18[Wed])

既製品とハンドメイド

現代社会では、商品にはある一定の品質と均一化が求められます。その点を考えると既製品は良いと言えるでしょう。
既製品は大量生産で当たり障りがなく万人受けしますし、たしかに誰が使っても差が出ないような商品は大変便利な気がします。
日本人は「みんなと一緒」だと安心する人種なので性に合っているのかもしれませんね。
人によっては「ハンドメイドは使いづらくてキライ」とうい人もいます。
しかし、「良い物は使いづらくクセがある」とも言います。
ハンドメイドは少量生産や一点ものだったりするので他人とかぶらないですし、なんとなく暖かみを感じて愛着が湧いてきます。
レザー商品などはいい代表例ではないでしょうか。
使っているうちにその人のクセがついてきて、他の人が使うと使いづらく感じます。
「他人には使いづらいが自分にだけは使える」というのは少し良い気分かもしれませんね。

(2016.5.2[Mon])


バックナンバー
©All Rights Reserved 2009 TAO & COMPANY Inc. Yokohama, Japan
Powered by HL-imgdiary Ver.3.00 Beta