合成ルチルという石をご存じでしょうか?
ルチルと聞くと、金色の針が石の中に入っているような見た目のルチルクオーツをイメージされる方が多いかと思いますが全くの別物です。
合成ルチルは人工的に作られた無色透明の石で、ダイヤモンドの代わりに使用されていました。簡単に言ってしまえばダイヤモンドの偽物です。
合成ルチルは 1950年代に出回っていたと言われています。今ではほとんど作られていません。 1950年代といえば日本では戦争が終わってちょっと経った頃でしょうか。 そんな頃に人類は「宝石の合成」なんて高度なことをしていたと聞くと驚きです。
合成ルチルの最大の特徴が、どの石よりもズバ抜けて高い分散値(ディスパージョン)です。 分散とは宝石にみられる光の効果で、反射した光が虹色に見える効果です。
ダイヤモンドの分散値は0.044ぐらいなのですが、 合成ルチルのは0.330ほどあり、ダイヤと比べるとズバ抜けて高く、強く七色に煌めきます。
ある意味ではダイヤよりも綺麗と言えるかもしれません。
しかし、あまりに強く煌めき過ぎるため、「ダイヤモンドではない」と専門家ではない人にも判別しやすい為、後の本物によく似てるダイヤの類似石などの登場により 合成ルチルは世間から姿を消して行きました。
今ある物は多くが当時に作られたものであり、モース硬度も6程度で割れやすく、手に入れようと思ってもなかなか手に入らない貴重なものです。
どこかで見かけましたら、ぜひ一度 お手に取ってみてください。
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