2019年07月

割り金のお話


最近業界では『パラジウムが高くて困る』という声をよく聞きます。
どういう事かというと、プラチナ900〜950やホワイトゴールドに配合している
割り金としてのパラジウムが高騰しているので利益を圧迫していると言う事です。
昔は金よりプラチナが約1.5倍ぐらい高いのが相場でしたがここ10年くらいで立場
が逆転、それに驚いていたらいつの間にかパラジウムが肩を並べ、ついには今年の春
トップの座に。
なぜこうなったかと言うと、ジュエリー業界以外からの需要が増えたのと、高騰を見
越して投機が増えたためと言われてます。
ジュエリー業界以外というのは自動車関係が主のようで
もともとの供給不足感
世界経済の成長に伴う自動車生産増加
ディーゼル車からガソリン車へのシフトに伴うパラジウム需要の増加
需給バランスの逼迫。現物の不足感は、2010年頃から出てきており、2018年は、41
トンの不足。
供給不足を狙ったスクィーズ(玉締め)
米国によるロシアの経済制裁:ロシアからのパラジウム供給不足
米国のINF全廃条約破棄によるロシアとの関係悪化
世界的な動きが絡んできてるわけですね。
パラジウムはプラチナやニッケルなどの副産物として生産されるため、生産
量は主産物の産出動向に左右されるのだそうで、2010年代、南アフリカのプラチナ
鉱山で閉鎖が相次ぐとパラジウムの生産量が減少して価格が高騰。
今まで脇役だった役者さんがいきなり主役になったものだから本人も周りも大騒ぎ
って感じでしょうか?
当社でも影響が若干ありましたよ。プラチナをろう付けするロウ(何を使うか、また
その割合は企業秘密です)にパラジウムを使っているのですが、その割合を下げざる
を得ないくらいでした。
何せ貴金属は『目方でドン』ですので結構シビアです。

(2019.7.29[Mon])

金の埋蔵量と都市鉱山


これまで人類は一体どのくらいの金を採掘してきたのでしょうか?

答えは約18万tです。
そして地中の埋蔵量は約5万tと言われています。
現在は年間約3000tのペースで採掘されているため、約10数年後には採掘出来なくなってしまいますね。
しかし、埋蔵量とは現在の技術などで採掘し得る量のことなので、技術が発達して金の採掘量に対してコストが見合うようになればもっと増えるということです。

また都市鉱山という言葉がありますが、金の採掘といえばアフリカが有名ですが、日本にも意外と金は存在します。
それは電子機器などです。
金は安定した性質から精密機器や電子回路に利用されています。
世界の金鉱山で採掘される金は1t辺り約3gしか採掘できないのに対し、日本の都市鉱山は1t辺り約30gの金が回収できるので優良な鉱山と言えますね。
微量ではありますが海水などにも金は含まれています。地球上のすべての海水の量から考えると約50億tもの金が取れることになります。
金の価格が上がり技術革新が進めば海水から金を取れる時代が来るかも知れませんね。

(2019.7.22[Mon])

ピクエ

ジュエリー・彫金には長い歴史から産まれた技術や技法があります。
日本では弥生時代には金工の歴史が始まっていたと言われていて、その頃からの知識や技術が次の世代に伝えられ、
進化を続けながら現在に至るまで継承され続けています。
しかし一方で、継承されずに途絶えてしまった技法もあります。

紛争が起きてその技法をやっていた民族が根絶やしにされてしまったり、
材料が入手出来なくなってしまったり、単純に引き継ぎ手がいなくなってしまったりと
様々な理由で歴史の中に消えてしまう技法があります。

「ピクエ」という技法もその一つです。
ピクエ(Pique/ピクゥエ/ピクウェ)とは、象牙やべっ甲、真珠の母貝などの有機素材の上に金や銀、時には貝を
象嵌して嵌め込む技法です。

有機質の素材、べっ甲や象牙、真珠の母貝といえば、ジュエリー素材の中でも硬度の低い方の物になります。
私達が作業を行う時も、特に上記のような有機素材のものは慎重に扱います。
その硬度の低い素材に金属を嵌め込んでしまうと言うのですから驚きです。

ピクエは17世紀ごろのフランスで誕生し、オランダや英国でも作られていたようですが、
19世紀末には世の中から姿を消したと言われていています。

ピクエという言葉は、フランス語の“Piquer”が語源のようで、これは突き刺すとか、
ピンで留めるという意味を持つそうです。
言葉の通りにピンで刺すようにして有機素材に金属を固定しているのではないかなどと言われていますが、
どうやってこれを実現しているのか、具体的な方法は謎に包まれています。

現代にピクエを研究し、ピクエを再現された物もありますが、ピクエを作っていた先人達から直接 継承されてきた
ものではないので、ピクエが復活したといえるかどうかは議論があります。


作ったものが後世に残り、未来では謎をよんだり、当時は無かった価値観が新たにその物に生まれるのも ジュエリー文化の楽しさの1つだと感じています。

(2019.7.10[Wed])

新品仕上げ

中古品の仕上げ直しをするうえで大事なことは刻印を消さないことです。
ブランドジュエリーならブランド名やデザイナー名、金性やct数が打刻してあります。
ブランドの多くの商品にはホールマークが打刻されており、その柄によってどこの国でいつ頃製造されたものなのかがわかったりします。
ホールマークとは品位証明記号のことであり、よく見かけるデザインだと犬や鷲の刻印があります。
金性刻印やct数は主にリングの内側に打刻されていますが、このホールマークはリングの腕表面の後ろ側にあることが多く中古商品だと傷にまぎれていて見分けが難しいのです。
ですから作業前検品で刻印の数や位置をしっかり把握することが重要になります。

(2019.7.5[Fri])

シルバー925について

                  
シルバー925とは、貴金属の品位を表す単位として使われ、1000分率で、925が純銀であるという意味です。
全体の92.5%にシルバーが含まれていることを表しています。
加工によって硬化した純銀は、常温でも日がたつにつれて、柔らかくなります。
これは、経時軟化といわれ、純金などの純金属に共通してみられる症状です。
純度が高いとアクセサリーには不向きだという理由で、強度をもたせる為に残りの7.5%に銅を配合します。
「スターリング」とは、イギリスの法定で「純銀」と定められる92.5%のシルバーのことを言います。
世界で初めて純度925の銀を使用したシルバーアクセサリーを販売したのは、
ティファニーです。

(2019.7.2[Tue])


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