私達が作業をする時は、多くの場合「すり板」の上で作業をします。
すり板とは、机に固定した平たい木の板のことで、この上で主にヤスリがけや糸ノコで物を切ったりします。 作業するものを手だけで持ってヤスリがけをするとどうしても力が逃げていまい、手元もグラついてしまいうまくヤスリをかけることが出来ません。 そのため作業するものを手で持ち すり板にあてがってヤスリをかけます。 すり板はとても重要な物ですが、本質的にはただの木材なので、単価も安く作業物と一緒にガリガリ削ってしまっても問題ありません。
職人さんごとの好みや、作業物に合わせた形に加工して使用します。当社の中でも職人ごとに実に様々な形をしています。
すり板に使用される木材は主に「朴の木(ほおのき)」と「樫の木(かしのき)」です。 朴の木は柔らかい部類に入る木材で、刀や刃物の鞘などに使用されている木材です。加工がしやすく、柔らかいので品物にムダな傷をつけにくいのが特徴です。 樫の木は反対に堅い部類の木材になります。 木刀の材料などとして使われているようです。 堅いためエッジのきいた形に加工して使用したり、朴の木よりも細い形にして使用することも出来ます。また加工した形が朴の木よりも作業中に崩れにくいのが特徴です。 私はこの樫の木のすり板の角に手をぶつけて手を切ったことがあります(笑)。
個人的なイメージでは、歴の長い職人さんは樫のすり板を使っているイメージがあります。お話を伺ってみると昔は工具屋さんに樫のすり板しか売っていなかったそうです。
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