2020年04月

エナメル

ジュエリーの分野で「エナメル」というと、本来は「粉末にしたガラスを焼き付けたもの」のことを指します。
日本語で言えば「七宝焼き」国によっては「エマイユ」と言われたりしています。

さらにエナメルの技法の種類ごとに名前があり、「クロワゾネ」「バスタイユ」「プリカジュール」などなどたくさんの呼び名があります。

エナメル技法の起源は紀元前の古代メソポタミアやエジプトで作られたと言われています。
あの有名な「ツタンカーメンのマスク」には既にエナメル技法が使用されていたそうです。

驚くほど歴史の古いエナメルですが、現在では市場で出回ってる数は少なくなっています。

中にはもちろん本物のエナメルで作られているものもありますが、樹脂で作られている物が「エナメル」として売られていることが多くあります。

「エナメル」という言葉の定義にまだ曖昧な所がありますが、やはり宝飾品で「エナメル」というとガラスであって欲しいなと思います。

七宝を金属に施すにはいくつかの制約があります。

七宝が施してある物の裏面はほとんどの場合「裏引き」といって裏面にもエナメルが施してあります。多くの場合単一色で黒一色などになってることが多いかと思います。
これはエナメルを焼き付ける時の熱膨張の関係で裏面にもエナメルを焼き付けないと表面のエナメルが割れやすくなってしまうため裏にもエナメルを施す必要があります。

また、エナメルを焼き付ける際の熱はジュエリーで多用されている「ロウ付け」が溶けてしまうぐらいの温度なのでロウ付けがされてる物に施すのも苦手とします。

エナメルを施す地金の種類とエナメルの色にも相性の悪い組み合わせがあります。例えば「銀」に「赤色系のエナメル」をそのまま焼きつけようとすると 多くの場合、
赤色系のエナメルに含まれている成分と銀が化学反応を起こしてしまい、くすんだ色味になってしまいます。銀に赤色系のエナメルを施すには職人技が必要となります。

「銀」と表現しましたが、ジュエリーで広く使われている「シルバー925」は七宝自体と相性の悪い地金になります。
925に七宝を施そうとすると地金が硬すぎるため割れやすい七宝になってしまいます。そのため七宝で使われるのは「純銀(シルバー1000)」が多いです。
一番 相性の良い地金は「銅」と言われています。
ジュエリーで七宝が使用されている物は銅に七宝を施した物を本体に組み込む形で使用されることが多いかと思います。


七宝の最大の長所は私たちの寿命よりも長くその色を維持出来ることではないかと思います。

樹脂で作られたものは地金などの制約なく様々な色を楽しむことが出来ますが、やはり樹脂なので長くても何年かすると変色・変質してきます。
七宝はほぼ変色しません。
樹脂では出せない独特の美しさと、とても長い時間で作った色を維持することが出来るのが七宝(エナメル)の最大の魅力なのではないかと思います。

(2020.4.28[Tue])

クリスタルは多種多彩

太古の昔からある氷のように美しい結晶「クリスタル」。
和名では水晶・石英と呼ばれ、装飾品として身に付けるだけでなく、「霊石」として古い建物や寺院のお守りとしても使われていたりするそうです。
そんなクリスタルですが、みなさんは無色透明や白っぽい結晶を思い浮かべると思いますが、実はとても多彩でバラエティに富んだ鉱物なのをご存知ですか。

色のついたクリスタルで最も有名なのは、紫色の「アメジスト」。
高貴な色を持つアメジストは、神聖な石としてキリスト教の司祭や位の高い僧侶などが好んで身に付けていたそうですよ。
他、ピンク色は「ローズクォーツ」。愛のお守り石です。
黄色の「シトリン」は、金運におすすめ。
茶色の「スモーキークォーツ」は心身の安定のお守り。
黒色の「モリオン」は最強の魔除け石です。

また、別の物質が内包されているクリスタルもあります。
金色の針状の物質が内包されているのは「ルチルクォーツ」といって、金運最強のクリスタルです。針がたくさん入ってギラギラしたルチルクォーツを、社長さんが買っていかれることも多いそうです。ゲン担ぎを大事にされているのかもしれないですね。
数千万年から数億年前の太古の水が入った「水入り水晶」なんていうのものありますよ。

クリスタルと一口に言っても、色や内包物だけでなく産地や原石の形によってもさまざまな種類があり、本当に多種多彩でおもしろいですね。

(2020.4.22[Wed])

ガラス

鏡はガラスに銀メッキをして作る方法があります。他に反射金属を特殊な方法で蒸着させる作り方があります。どちらの製法でもメッキとガラスの強度を高める為に裏面には塗装や板を張り付けるなどの保護がしてあります。ということは、それなりに薄いメッキがしてあるという事とガラスにメッキ(蒸着)をかかっても剥げやすいといった事が推測できますね。アクセサリーのクリスタルや装飾用のガラスにも薄いアルミ箔の様なものが貼ってあるものや金属の蒸着メッキが施されているものをみかけます。これらの場合は特に保護等はされていないので簡単に金属部分が剥げて取れてしまいます。高級ブランド品になると蒸着メッキや金属箔を厚めにかけてあったり後ろ側の面にも見た目が良くなるような塗装や加工が施されています。ぱっと見はそれなりの厚み金属にガラス等が貼ってあるように見えてしまいます。しかし強度を高めている訳ではないので使い方次第で簡単に剥げてしまいます。貼り直しも出来ません。
弊社で仕上げ直しや洗浄の預かり品の中にこのよう商品も存在します。検品の判断を間違えないように知識を高め検品目を磨く必要があります。

(2020.4.8[Wed])


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