珍しい色の地金が使われたジュエリーを見ることがあります。 ジュエリーによく使われる地金の色は とても大きく分けてしまえば 金色、銀色、銅色があります。 厳密に言えば金色の中でも入っている地金の配合量によって色味に違いはありますが、「何色か?」と聞かれると「金色」になります。 シルバーとプラチナも色味の違う地金になります。プラチナは重厚で落ち着きのある色をしていますがシルバーは白色光を強く反射する金属になるので「白い」金属になります。ですがどちらも「何色か?」と聞かれると「銀色」になります。 時折、よく見ることのある金銀銅色とは違う珍しい色の地金が使われたジュエリーを見ることがあります。 ピンクと言うよりは「赤」に近い色味の物、紫色の物、黒い色の物 、青みがかっている物、シルバーでありながらピンクがかっている物、シルバーでありながら地金自体が黄色い物などいくつかの物があります。
これらは既存の広く使われている配合の地金とは違い、製造元のブランドなどのオリジナルの配合で作られた特別な色味の地金が使われている物になります。 既存の見慣れた色味とは違い、新しく新鮮な感じのする魅力的な見た目をしています。 しかしそれらを「修理」 という観点で見ると修理が難しい物や修理が行えない場合があります。 全ての珍しい色の地金の 物は修理が難しいわけではありませんが難しい場合が多くなります。 基本的には製造元のブランドのオリジナルの地金の配合になるため、配合の内容はやはり公開はされません。ブランド以外では得体の知れない素材となるためブランド以外では修理を断られる場合もあります。
また、珍しい色の地金の物の中には「物体」として「素材」として不安定な物のまま材料として使われてしまっている物があります。 使いはじめてある程度の時間が経つと割れやすくなったり、溶接面が驚くほど簡単に取れてしまうようになるような物、そもそも素材として脆く、比較的簡単に割れてしまう物などがあります。 通常、空気に晒されるとビックリするほど早く変色してしまうため、珍しい色なのに使われてこなかった地金の配合があります。 それをブランド独自のコーティング技術でコーティングし変色が起こらないようにして製品にしている物があります。 コーティングが剥がれてしまうため、そのブランド以外では修理を行うのが難しくなります。 確かにそのブランドに持っていけば修理は出来るかと思いますが、もしそのブランドが、創設されたばかりの新しいまだ小さなブランドだった場合、いざ修理が必要になった頃にはブランド自体が廃業してしまっている可能性があります。 ブランドが無くなってしまうとその品物は修理がほぼ不可能な品物になってしまいます。
「黒さ」をウリにしている物の中にも地金自体の色の黒さはそれほどでもないため、地金の上に黒いコーティングを施してしまっている物もあります。 珍しい色の地金の物全てがそうであるわけではありませんが、その多くが大きな短所を持っている 場合があります。 何年かに一度そういった珍しい色の地金が使われたジュエリーが市場に「新製品」として登場しますが、やはりそういった短所が克服出来ていないため、定着することなく市場から消えていくと言う話を耳にします。
「新製品」として市場にには登場しますが、人とジュエリーの長い長い歴史の中で先人たちの誰かが試し、短所が大きいため使われて来なかった地金の配合と似たような配合で、繰返し使われているようです。 技術が発展して行き、新しい地金の配合などが発明されれば、安定的に使える珍しい色の地金が登場してくる可能性はあるのかも知れませんが、現状では 大きな短所を持った物が多いようです。 一般的に広く使われている地金の配合は、「素材として材料として物体として」比較的に安定した品質を保てる配合で作られています。 既存の広く出回っている地金の配合は、人とジュエリーの歴史の中で洗礼されてきた安定的に品物が作れる配合であるとも言えます。
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