2021年07月

人工ダイヤ

人工ダイアモンドは天然物を超えるか?
近年、科学的組成が天然物と同じ人工ダイヤが作られるようになったと話題になり、ダイヤの最大取引会社のデビアスが扱うという話でも話題になりました。
この人工ダイヤのメリットは、価格が約1/10になる事と、いわゆる紛争地域でとれるものと違って紛争の資金源にならないという事だそうです。
大手のジュエリーブランドのパンドラ社は今後人工ものしか扱わないとの声明を出しました。
こう言った動きはある意味ジュエリー界に価格崩壊をもたらすかもしれない事ですが、同時に天然物の価値を高める事にもなりそうです。
ただし、人工ものと天然物との区別がかなり難しくなったようです。
一般のダイヤモンドチェッカーでは引っかからないそうで、専門の鑑定業者に依頼しないと判別できない位くらいだそうです。
つまり人工ものを買って一般の買取業者に持って行って天然物と偽って売れば数倍の値段になるといった事も可能になってしまう訳で。
コレはかなり際どい話になります。
そもそもダイアモンドというのはおよそ10〜30億年前に地下160キロで炭素にとてつもない高温、高圧がかかって成形されたものがマグマに乗って地表近くまで運ばれたものを人間がせっせと掘り起こしたものですから、人工的に生成したものをダイアモンドと呼べるのかという議論が当分は続くでしょうね。
今後もこの問題は注視して行かないといけないと思います。

(2021.7.29[Thu])

磨き

ジュエリー以外にもシルバー製品の品物を磨くことがあります。名刺入れ、カトラリーセット、写真立てなど...
大型の品物だとワインクーラーも磨きの依頼がきます。
まずは品物に使用されている地金を知る必要があるので刻印を探しますが、特に大型の商品はシルバーメッキの施された真鍮の場合もあるので注意が必要です。
シルバーメッキのかかった品物はバフで磨くとメッキが剝がれてしまうので手磨きできれいにしていきます。
そもそも物が大きすぎてバフで磨けないこともありますが・・・
手磨きはバフ磨きほど磨き目がきれいに消すことができないうえに傷も残ってしまいます。
ですが変色や白く濁ってしまった表面は鏡で反射したようにきれいに仕上がってくれます。研磨剤を含んだ磨き布で粗目のものから順々に1面ずつ、細かなパーツ周りは
綿棒や割りばしに布を巻き付けて磨いていくので時間はだいぶかかってしまうのですが作業後の達成感はひとしおです。

(2021.7.26[Mon])

ルーペ

宝飾業界でも物を拡大して見たい時、検品や鑑定にルーペや顕微鏡をつかいます。
ルーペの倍率は基本的に10倍です。倍率が低いと肝心な所が見えなかったり、高いと視野が狭く暗くなりすぎる、見えすぎて「粗探し」になってしまったりと理由は様々あります。といった訳で世界的に10倍のルーペを基準に鑑定や検品を行っています。10倍が1番扱いやすかった、といったイメージです。あくまでも基準で決まり事では無いので用途に合わせて8倍や12倍などの物を使っても問題はありません。
ルーペは片目で対象を見ます。使い方は中学生の頃に理科の授業で勉強したと思います。それなら使ってない方の目は閉じるor開くどっち?と思うかもしれません。ジュエリーや宝石のチェックの時には基本的に両目を開けてルーペを使います。これは諸説あるのですが、疲れない様にとか、片目を閉じて見ている隙に他のモノが盗まれないようにとか言った理由です。これも絶対ではないので状況に応じて開いたり閉じたりします。
20倍くらいの倍率になる時は顕微鏡の出番かなと思います。視野がかなり狭く暗いので対象の固定とピント調整が大事になってきます。この位の倍率の時の作業は両手での作業が必要になる事が多いので顕微鏡が適任です。
10倍以上の高倍率のルーペになればなるほど高額なります。ですので日頃の扱いも大事です。レンズにキズを入れないのはもちろんの事、レンズ回りの塗装を剥がさないようするのも大事です。映り込みや反射で見え方が変わることがあります。
宝飾品の扱いにルーペは必須アイテムです。ルーペの知識と扱い方を知っておくことは大事だと思います。

(2021.7.2[Fri])


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