2021年10月

リューターという工具

リューターは、主にリングの内側などを磨くことに使用しますが、先端のポイントを変えれば磨くだけでなく、穴を空けたり、金属を削ったり出来る便利な電動工具です。

ジェエリーの職人には必須な工具の一つですが、一言で磨く、削ると言っても先端のポイントは多種多様にあるので、どれを使うかは職人の好みによる所が大きいです。
ベテランの職人は自分で先端を加工して、専用のポイントを作ったりします。

磨く先端のポイントは、形も色々ありますが材質も様々で、砥石を固めた物だったり
布、革、シリコン、セラミックなど使う用途によって変えて作業します。
また、ポイントに研磨剤をつけて磨くので、みがき布などで拭いたりするよりも圧倒的にキレイになります。
リューターが一台あると作業の範囲が格段に広がります。

(2021.10.26[Tue])

めのう

貴重な国内産の石のひとつに、歴史の古い出雲のめのう(出雲石)があります。
今回は、国産の出雲のめのうと勾玉(まがたま)についてお話したいと思います。
めのう(アゲート)とは石英という水晶と同じ成分の結晶が集まってできた鉱物です。
島根県松江市玉湯町の玉造温泉にある花仙山は、弥生・古墳時代から良質なめのうの産地で、
全国で唯一「青」「赤」「白」三色全てのめのうが採掘できる貴重な場所です。
「出雲石(碧玉)」と呼ばれる、色が濃い青めのうは、新潟の翡翠と並び、古来から重宝されてきました。
現在では出雲石は採掘が制限されている為、希少なものになっています。
花仙山の良質なめのうを使って作られためのう細工は、出雲国造と大和朝廷に唯一献上され、全国へと広まりました。
そのため、全国の古墳の調査では、北は函館〜南は宮崎南部まで、花仙山産出雲石で作られた勾玉(まがたま)が全国で出土されています。
この出雲石は特徴的な「出雲型勾玉(まがたま)」として加工されてきました。
勾玉とは、
世界的に珍しく、古来より勾玉には不思議な力が宿る、魔除けや厄除けといった呪的な意味で身につけられてきました。
また、出雲・玉造の地は神話の舞台として、「古事記」「日本書紀」に記されています。
神話では、須佐之男命(スサノオノミコト)がヤマタノオロチを退治した後、
玉造湯神社の御祭神である櫛明玉命(クシアカルタマノミコト)が出雲石を使用して作製した「勾玉」を天照大神(アマテラスオオミカミ)に献上されました。
これが三種の神器の一つ「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」になったとされています。
そのような神話とゆかりのある玉の産地で生まれた「出雲型勾玉」は、一般的な勾玉に比べ、尾がふっくらとした丸みのある形をしています。
この出雲型勾玉は、出雲大社の祭祀を司る役職「出雲国造」新任の際や、皇室への出雲の玉献上の儀式に使われる玉にも使用されています。
遺跡から出てきた昔の道具などからは、勾玉制作の細かい作業工程が窺えます。
古来から現代まで、職人の手によりひとつずつ磨かれた勾玉からは、それぞれ手作りならではの石の温もりと個性が感じられます。
出雲石の勾玉を見て、古来のものづくりと神話に思いをはせるのも良いかもしれません。
貴重な国産の出雲のめのうとその文化がこれからも重宝され、継承されていくことを願っています。

(2021.10.19[Tue])

合金

世の中の金属の多くは地金に割金と言って別の金属を混ぜ合わせて扱いやすい合金にして加工します。ジュエリーではゴールドには銀と銅の割金を、プラチナにはパラジウムなどを、銀には銅を使います。ちなみに銅に亜鉛、スズを合わせると青銅。鉄にクロム、ニッケルなど加えるとステンレスです。お気づきでしょうか?そうです。ジュエリーに扱われる貴金属たちは合金にしても呼び方が変わらないのです。約60%が割金のK10もゴールドと呼びます。プラチナも同じで高価なパラジウムを多く加えて5:5の合金にしてもプラチナと呼びます。合金と言っても色々状態があるそうで、金、銀、プラチナは混ざっていると言うよりかは結晶レベルで独立して合わさっている状態ではなかと思います。金の色むらや銀の火むらがいい例かと思います。うまく溶せていない地金は薄い地金がめくれ上がる事もあります。いつか金、銀、プラチナを原子レベルで観察してみたいなと思っています。

(2021.10.12[Tue])

毒をもつ美しい鉱物



綺麗なバラには棘があるという言葉があるように、美しいけれど毒性が高い鉱物があるのをご存知ですか。その美しさとは裏腹に危険な毒を持つ代表的な鉱物を3つほどご紹介します。

まずは【胆礬(たんばん)】。こちらは半透明のガラス光沢をもつ鮮やかな青い結晶です。その魅惑的な美しさから「銅の青い花」とも呼ばれています。水に溶けると強酸性を示すため、胆礬が溶けた水に触れると木綿製の服はすぐにボロボロになってしまいます。その見た目の美しさから観賞用に購入する事も出来るそうですが、絶対に不法投棄はしてはいけません。この結晶を池に投じれば藻類を絶滅させ他の生態系にも多大な被害を生むそうです。

2つめは【辰砂(しんしゃ)】。鮮やかな赤色をした美しい鉱物です。龍の血を意味する名を持ち、単一のものとしては地球上で最も毒性が強く、水銀の主な原鉱となります。加熱すると振戦、感覚障害、死の原因となる水銀蒸気が生じます。信じられない事にかつては薬効があると考えられ、漢方薬として処方されることもあったそうです。中国では漆器に施す朱漆の原料として広く利用していたため、それゆえに命を落とす職人もいたのだとか。

最後は【輝安鉱(きあんこう)】。銀に似た金属的な光沢を持つ剣状の結晶です。その結晶の美しさから、かつては豪華な食器の飾りとして使われていました。しかし結晶にはそれを使用した者に最悪の食中毒を起こさせる毒性があり、そうとは知らずに輝安鉱をあしらった食器を使った人を、幾人も死に至らしめてきたそうです。普通にコレクションするだけでも、取り扱いには細心の注意が必要となります。

地球に眠る鉱物の目もくらむような美しさに思わず手に取ってしまいがちですが、色鮮やかで美しいものほど猛毒が含まれている可能性があるのでご注意くださいね。

(2021.10.1[Fri])


バックナンバー
©All Rights Reserved 2009 TAO & COMPANY Inc. Yokohama, Japan
Powered by HL-imgdiary Ver.3.00 Beta