澄んだ夜空のような鮮やかな青色の「ラピスラズリ」。ラピスラズリは幸運を呼ぶ石として世界中の人々から愛されている石です。ラピスはラテン語で「石」、ラズリは「青い色」を意味し、古代ローマの博物学者が「星のきらめく天空の破片」と表現するほど美しい石です。和名では「青金石」または「瑠璃」とも呼ばれています。瑠璃はサンスクリット語のverulia(ヴァイドゥーリャ)から由来して、水晶を意味する「玻璃」と同様に神聖な石として珍重されてきました。 ラピスラズリは、実は一つの鉱物ではなく数種類の鉱物が混じった固溶体なのです。鮮やかな青色のアズライトを主成分とし、青紫のソーダライト、透明な青色のアウイナイト、白色の筋状の模様を作るカルサイト、星のような輝きを放つ金色のパイライトなどで構成されています。
人と関わって5〜6千年になる長い歴史をもつ鉱物で、装飾品だけではなく数多くの工芸品や宗教的な儀式で使うための道具、薬や化粧品、絵画の顔料として用いられてきました。特に青い顔料は大変貴重で、画家たちはこの顔料を「海(地中海)を超えてやってきた青」という意味から『ウルトラマリンブルー』と呼んでいました。 芸術品として有名なのは、黄金にはめ込まれたラピスラズリの青と金のコントラストが美しいツタンカーメン王の『黄金マスク』。顔料としては、レオナルド・ダ・ビンチの『最後の晩餐』でキリストや弟子の青い衣に使われ、フェルメールの作品では『真珠の耳飾りの少女』『青衣の女』『牛乳を注ぐ女』に発色の美しい鮮やかな青色が使われました。フェルメールがこの青色をこよなく愛し使っていたことから「フェルメールブルー」とも呼ばれています。ラピスラズリの青が多くの素晴らしい作品を作り出すための重要なアイテムだったことがわかりますね。 たくさんの人々を魅了してやまない神秘の石を、ひとつ手にしてみるのはいかがでしょうか。
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