2022年12月

モアサナイト

先日、イベントに出店していたルース屋さんで「モアサナイト」が売られているのを見かけました。

モアサナイトはダイヤモンドの類似石として知られている石で、ダイヤの偽物と言われている石です。

ダイヤモンドの類似石として一番広く売られている石はキュービッグジルコニアで、モアサナイトのルースが売られているのは比較的まだ少ないかと思います。


近年、合成モアサナイトの製造の特許が切れたため、これから市場に出回ってくることがまた増えると言われています。

ジュエリーに使用されているモアサナイトは合成して人工的に作られた宝石になります。

モアサナイトの天然の物は、あることにはありますが、隕石に含まれる大変希少なものでジュエリーへの使用は禁止されているそうです。

人工的に作られた物がほとんどのため、宝石の図鑑や書籍にはあまり記載されている事がありません。


ダイヤモンドの類似石と言われるだけあって、ダイヤモンドととても似た見た目をしていますが、ダイヤモンドとは違う物質になります。

ダイヤモンドのモース硬度は「10」で最も硬い宝石と言われていますが、モアサナイトのモース硬度は「9.5」で、宝石の部類の中では比較的硬い方の宝石になります。


ダイヤモンドと違う物質のモアサナイトではありますが、熱伝導率がダイヤモンドと非常に近いという性質を持っています。

そのため、熱伝導率でダイヤモンドの本物と偽物を鑑別する機械の「ダイヤモンドテスター」でモアサナイトを鑑別するとダイヤモンドと同じ反応をしてしまうため、ダイヤモンドだと誤って中古ジュエリーの買い取り屋さんが買取ってしまったりする事があったそうです。

ダイヤモンドとモアサナイトを鑑別する「モアサナイトテスター」という機械もありますが、ちょっとお高い機械になります。

この合成モアサナイトの登場で、そのちょっとお高い機械を買わなくてはいけなくなった 業者さんもいるので、一部界隈では少し嫌われている石になります。


モアサナイト自体はとてもよくキラキラする石で、キレイかキレイじゃないかで言えばキレイであると言えます。

宝石の中に入った光が虹色に煌めいて見える「分散(ディスパージョン)」の数値でいえば、ダイヤモンドが.044であるのに対しモアサナイトは.104という数値になり、ダイヤモンドよりモアサナイトの方が虹色に煌めく宝石になります。

ある意味ではダイヤモンドよりもキレイであるともいえますが、逆にギラギラと見えるため安っぽい、偽物っぽいと言われることもあります。


合成モアサナイトの価格は近年登場している合成ダイヤモンドよりも遥かに安い価格になります。

例えば モアサナイトを使ったリングをシルバーで作った場合、モアサナイトの値段よりもリング本体に使ったシルバーの地金代の方が高くなるということは簡単に起ります。

結婚指輪をダイヤモンドではなくモアサナイトにすれば、かなり価格を抑えられて、強度も煌めきもあり、ダイヤとほぼ似たような見た目をしているし、安い分 大きさやデザインなどをこだわりをもった物に出来るという考え方もあります。

しかし「ジュエリー」の定義の中に「高価である」という要素もあるため、いくら煌めいても高価でなければジュエリーにはならないという考え方もあります。

確かに、二千円出してもお釣りが来るような物を何万円もするような金やプラチナに取付けるのはもったいないようにも思えます。


綺麗だからジュエリーなのか、高価だからこそのジュエリーなのか、ジュエリーの在り方を考えさせられます

(2022.12.30[Fri])

9月の誕生石

今回は、9月の誕生石、サファイアの特徴とその魅力についてお話ししたいと思います。

サファイアは、「ルビー」と同じ「コランダム」という鉱物の一種になり、硬度は9なので、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。コランダムの赤色は「ルビー」、それ以外の色のものは「サファイア」と呼ばれています。
サファイアとは、「青」を意味するラテン語の「サッピールス(sapphirus)」に由来し、天空の色とつながり、神に近い石とされてきました。

サファイアの中で最も美しく、価値のあるブルーは、コーンフラワーブルーと呼ばれ、コーンフラワー(矢車菊)の色から名付けられました。彩度が高く、若干白みがかった柔らかな色合いが特徴です。産地はカシミール産のものが価値があるとされ、1881年、ヒマラヤの北西のカシミール地方で、標高4000メートルの位置で発見されましたが、現在ではほとんど産出されず、大変貴重なものとされています。
コーンフラワーブルーに次ぐ青色は、やや濃色のロイヤルブルーであり、ミャンマー産のサファイアに見られます。

また、貴重なカラーのサファイアとしては、やや橙がかったピンク色のパパラチアサファイアがあります。
シンハラ語で「蓮の花の色」という意味をもつ「パパラチア」サファイアは、その名がつけられるのは、オレンジとピンクの中間の色のみで、鑑別機関で決められた色より、ピンクが強ければピンクサファイア、オレンジが強ければオレンジサファイアとなってしまいます。とても狭い色範囲のため、希少であるとされます。

サファイアの魅力的な特徴として、スター効果(アステリズム)があります。
スター効果とは、石の内包鉱物として存在するルチルの針状結晶細かく分布するシルクインクリュージョンが見られる石をカボションカットした時、光を当てると、6条のスターのような星彩線が現れることを言い、その効果が見られるコランダムを、スターサファイア、スタールビーと言います。この効果は、シルクインクリュージョンを持つミャンマー産とスリランカ産の石にしばしばみられます。
中世キリスト教の聖職者たちが、神と人とを媒介する権威者の証としたのが紺青色のサファイアで、神に最も近い石として崇拝されてきました。その中でも最も特別とされたのは、石の上に6条の星が浮かび上がるスターサファイアで、交わる3本の線には「信頼」「希望」「運命」が宿ると信じられ、人々に、畏敬の念を抱かせてきました。聖職者だけでなく、ヨーロッパでは「幸運が舞い込む石」、スリランカでは「魔よけ」といったように、世界中でスターサファイアは重宝されてきました。

サファイアは他にも、近年見つかったカラーチェンジ効果のあるものもあり、様々なカラーと効果を持つ、魅力的な宝石であると言えます。
他にはない唯一のお気に入りの石を見つけて、仕立て、大切にしていきたいものですね

(2022.12.29[Thu])

天使の石『エンジェライト』



もう街中はクリスマスの色合いになってきましたね。今回はそんなクリスマスにイメージの合う『エンジェライト』という石をご紹介します。
エンジェライトは1989年に宝石市場に登場した比較的新しい鉱物で、柔らかい空をイメージさせる優しい青色に翼のような白っぽい脈状の縞模様が表れた宝石です。ダイヤやサファイヤのように広く誰にでも知られているという石ではないですが、世界平和から恋愛まで深い愛をもたらす「博愛と平和の石」として一部に人気があり、ロザリオにもあしらわれ愛用されています。

よく発掘される場所はペルーのナスカで、正式にはアンハイドライトという硬石膏の一種の鉱物です。真珠光沢のある不透明な青色の淡く儚げなイメージからギリシャ語で天使を意味する『エンジェライト』という名称がつき、「祈りの石」ともいわれ深い愛を遠くまで伝える天使の石として愛されています。

宝石というには硬度が低く割れやすいため、衝撃には十分に気をつけなければいけません。また、水分にも弱いので水や汗がついたままにしておくと水色から白っぽい色に変化してしまったり、場合によっては塩分で形が変わってしまうことがあるので、万が一水や汗がついてしまったときは丁寧に拭き取ってくださいね。

今年のクリスマスは、天使界からの贈り物ともいわれるエンジェライトを大切な人にプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

(2022.12.22[Thu])


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