先日、イベントに出店していたルース屋さんで「モアサナイト」が売られているのを見かけました。
モアサナイトはダイヤモンドの類似石として知られている石で、ダイヤの偽物と言われている石です。
ダイヤモンドの類似石として一番広く売られている石はキュービッグジルコニアで、モアサナイトのルースが売られているのは比較的まだ少ないかと思います。
近年、合成モアサナイトの製造の特許が切れたため、これから市場に出回ってくることがまた増えると言われています。
ジュエリーに使用されているモアサナイトは合成して人工的に作られた宝石になります。
モアサナイトの天然の物は、あることにはありますが、隕石に含まれる大変希少なものでジュエリーへの使用は禁止されているそうです。 人工的に作られた物がほとんどのため、宝石の図鑑や書籍にはあまり記載されている事がありません。
ダイヤモンドの類似石と言われるだけあって、ダイヤモンドととても似た見た目をしていますが、ダイヤモンドとは違う物質になります。
ダイヤモンドのモース硬度は「10」で最も硬い宝石と言われていますが、モアサナイトのモース硬度は「9.5」で、宝石の部類の中では比較的硬い方の宝石になります。
ダイヤモンドと違う物質のモアサナイトではありますが、熱伝導率がダイヤモンドと非常に近いという性質を持っています。
そのため、熱伝導率でダイヤモンドの本物と偽物を鑑別する機械の「ダイヤモンドテスター」でモアサナイトを鑑別するとダイヤモンドと同じ反応をしてしまうため、ダイヤモンドだと誤って中古ジュエリーの買い取り屋さんが買取ってしまったりする事があったそうです。
ダイヤモンドとモアサナイトを鑑別する「モアサナイトテスター」という機械もありますが、ちょっとお高い機械になります。
この合成モアサナイトの登場で、そのちょっとお高い機械を買わなくてはいけなくなった 業者さんもいるので、一部界隈では少し嫌われている石になります。
モアサナイト自体はとてもよくキラキラする石で、キレイかキレイじゃないかで言えばキレイであると言えます。
宝石の中に入った光が虹色に煌めいて見える「分散(ディスパージョン)」の数値でいえば、ダイヤモンドが.044であるのに対しモアサナイトは.104という数値になり、ダイヤモンドよりモアサナイトの方が虹色に煌めく宝石になります。
ある意味ではダイヤモンドよりもキレイであるともいえますが、逆にギラギラと見えるため安っぽい、偽物っぽいと言われることもあります。
合成モアサナイトの価格は近年登場している合成ダイヤモンドよりも遥かに安い価格になります。
例えば モアサナイトを使ったリングをシルバーで作った場合、モアサナイトの値段よりもリング本体に使ったシルバーの地金代の方が高くなるということは簡単に起ります。
結婚指輪をダイヤモンドではなくモアサナイトにすれば、かなり価格を抑えられて、強度も煌めきもあり、ダイヤとほぼ似たような見た目をしているし、安い分 大きさやデザインなどをこだわりをもった物に出来るという考え方もあります。
しかし「ジュエリー」の定義の中に「高価である」という要素もあるため、いくら煌めいても高価でなければジュエリーにはならないという考え方もあります。
確かに、二千円出してもお釣りが来るような物を何万円もするような金やプラチナに取付けるのはもったいないようにも思えます。
綺麗だからジュエリーなのか、高価だからこそのジュエリーなのか、ジュエリーの在り方を考えさせられます
|