今回は9月の誕生石のサファイアの特徴とその伝承についてお話しようと思います。
サファイアは、「ルビー」と同じ「コランダム」という鉱物の一種になり、赤色は「ルビー」、それ以外のものは「サファイア」と呼ばれています。硬度は9でダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。
サファイアとは、「青」を意味するラテン語の「サッピルス(sapphirus)」に由来し、 天空の色を連想させ、神に近い石とされてきました。日本名でも「蒼玉(青玉)せいぎょく」と呼ばれ、青色のイメージが強い石です。 古代旧約聖書の中で書かれているサファイアとは、ラピスラズリ(和名:瑠璃)を指しており、サファイアとは特定の石の名前ではなく、古代では青い石全体を意味していたと言う記述もあります。 その為、旧約聖書のモーゼの十戒が刻まれた石版はサファイアは、『ラピスラズリ』だったのではないかと言われています。 サファイアは、一般的に青色のイメージを強くもたれていますが、実際は青以外にも多くの色相をもつ石です。
古代ペルシャの人々は、自分たちの住む世界は巨大なサファイアの上にあり、空に反射し、青い空を映し出していると考え、「天と地に最も近い石」とされてきました。 またサファイアは、王族や君主を危害や妬みから守るという意味もあり、古代より指輪や冠として重宝されてきました。 イギリス王室でも、王冠やティアラなどの宝飾品に多く用いられ、故ダイアナ妃がチャールズ皇太子から贈られた婚約指輪が、サファイアであったことも有名です。
サファイアの宝石言葉には「誠実」「慈愛」「徳望」といった意味合いがあり、ほかにも平和を祈り、一途な想いを貫くというメッセージが込められているといいます。 古代から哲学者、聖人の石と言われ、神の恩恵や慈愛を受け精神の再生をもたらすと信じ、聖職者や賢者にこそふさわしい石と考えられていたサファイア。 枢機卿や司教がもつ指輪にはサファイアがはめられ、その指輪をした手で信者に触れることは、誠実や慈悲を与え、病を癒し、人々を悩みや苦しみから救うことを意味しているそうです。
ヨーロッパに古くから伝わるジンクスで、4つのサムシングを花嫁が身につけると幸せになれる「サムシングフォー」のひとつに「青いもの=サムシング・ブルー」があります。 青は誠実さを表す色として知られ、花嫁の純潔を象徴する純白の中に、密かに青色のものを身に着けるとよいとされ、そのアイテムのひとつとして、青いサファイアを指輪の内側に埋め込む場合も多いそうです。
今回は青い宝石としてのサファイアの役割をお話ししましたが、他にも、カラーバリエーションの豊富さや産地による特徴の違い、スター効果(アステリズム)など、ユニークでとても魅力の多い石です。次回は、また別の角度からサファイアの魅力についてお話しできたらと思います。
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