2023年07月

ネックレス

チェーン修理の内容に絡まり取りと言った修理依頼があります。細めのチェーンや捻りの加えてあるチェーン、ステーションネックレスと言われる一定間隔にチャームや石が取り付けられている様なデザインの商品などによくみられます。絡まりというと身近なもので紐や糸が結び目や玉になっている状態を想像すると思いますがまさに同じ様な状況で繊維の紐ではなく金属の紐が塊や複雑な結び目が出来ている状態です。ほどく方法は様々ですが基本的には絡まっている個所を先端が細くなっているピンセットなどでほどいていきます。しかし紐や糸と違いチェーンは輪っか状のコマが連なっている物なのでコマとコマがパズルのピースがはまる様にしっかりかみ合ってしまう事があります。そうなると知恵の輪はばらすのと同じ様な作業になってしまい集中力と忍耐力の勝負になります。完璧にかみ合ってうんともすんとも言わない状況になると1,2箇所コマの口を切ってバラしてほどく作業になります。チェーンをほどくのにわざわざコマを切るなんて信じられないと言ったクレームを受けた事もあります。ですが切ってほどく必要があるのです。特に先に挙げた様なチェーンは要注意で、しっかりとかみ合っている状態の場合、金属は柔軟性がないので少し力技でほどいていくことになります。つまり細いものや捻りが加わっているチェーンはコマが変形してしまうのです。またステーションネックレスのようなデザインはパールなどの宝石があしらわれていることが多いのでほどく際にコマでチャームや石を傷つけてしまう可能性が高いです。コマが変形したり宝石に傷が入ってしまうと元通りの綺麗な状態には仕上がりません。これはよろしくないと判断しコマを切ってほどくという作業が発生するのです。
絡まりをほどいて元の見た目に戻すのが修理の最大の目標です。絡まりほどけたけど傷だらけ、癖が残ったなんて状態は避けお客さまの喜ばれる仕上がりにするのが職人仕事だと思います。
多くの方々にはこのような作業になる事はご存じいただけているのでクレーム等の心配や過度の説明は必要ないのと感じています。
チェーンの絡まり取り作業の一情報として読んで頂けたら幸いです。

(2023.7.11[Tue])


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